敵は本能寺に在り

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―京都・本能寺周辺― 何処からか梟の鳴く声がする。夜空に星はなく、雲が架かった大きな満月が一つ。 「いよいよですね」 明智光秀は本能寺を一望できる高台から月を眺めながら呟いた。 「この戦で全てが変わる。世の中も人々の生活も……全てが」 月明かりが漆黒の大地を照らし、無数の灯りが本能寺を囲むように揺れ動く。 先程まで聞こえていた梟の鳴き声が止み、代わりに近づいて来る足音。鎧の擦れ合う独特な音。
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