第一章:記憶の回廊

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彼にとってこの町は出身と呼べる場所であり、最近はこの町ファンエルを後に気ままな旅を続けていたのだが、訳あって戻り、宿屋に泊まり滞在していたのだ。 冒険家とは決して違うのだが。 少年は足元の書物を空間を空けるためだけに適度に重ねてまとめると、床から上がり、手に持っていた黒いフード付きの上着を腕に通し羽織って、簡単な身支度をすませる。 (師匠に挨拶しとかないとな…‥これでしばらくは会えなくなるのか) そう、その日の目的は恩師と呼べる人に挨拶に向かう事。少年は心の中でそう呟くと、宿屋である室内の扉へと向かう。 明け方になるまで読み更けた世界の伝記本。 この世界の文明は昔滅びをむかえており、それ以降二つの国の王が誕生し、先代国王達のおかげて再びこの水準までに復興されたと言われている。 その記述の中には精霊
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