記憶

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ナツタは夏の暑さにバテながらも遅刻しそうだから駅まで必死にこぐ。 《こっちもっとこっちへ》 頭の中に声が響いた。聞いたことあるよう声だが思いだせない。声は女の人のだった。 「暑さで頭おかしくなったかな?」 と独り言をつぶやきながら駅までの坂を立ちこぎで乗り切る。 駅に着いた時にはナツタは汗だくだった。 「とりあえず間に合った」一息つくとナツタは2番線に向かう。 電車は1番後ろにいつも乗るようにしていた。1番後ろに向かう途中 《早く、間に合わない》 また声がした。さっきと同じ声だ。だが急がせるわりには抑揚のない棒読みのような声だった。 少し速歩きで1番後ろにむかった。 《早くきて》 まただ、なんなんだろうという疑問を持ちながらもナツタは早く冷房の効いた電車に乗りたいと言う欲望のほうが強かった。 まもなく2番線にのぼり列車が参ります 駅で電車がくることをつげるアナウンスが流れる。あと少しで電車がナツタの前を通ると言う時、誰かがナツタの背中を押したのだ…
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