1.弱虫

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僕の両親は、僕が物心ついた頃から仲が悪かった 口論は日課のように繰り返し、時には暴力にまで及んだ。僕が中学生になる頃は、逆に会話は無くなり互いを無視するようになった。 「まだ7月になったばかりなのに…蒸し暑いや」 そして三ヶ月前 僕が高校生になったあの日。待ってましたとばかりに両親は離婚した。 子供には多すぎるお金と、広すぎるマンションの一室を残して 「蕎麦にしようかな」 陽が落ちても身体に張り付く暑さに、少しウンザリしながら夕飯のメニューを思う なるべくは自炊を心掛けてはいるけど、気分が乗らない時は気晴らしも兼ねてコンビニへ足を運ぶ 徒歩10分 最寄りのコンビニの看板が暗がりをボンヤリと照らし、入口の自動ドアを抜ければ聞き慣れた声が迎えてくれた 「いらっしゃいませ!―って宗助かよ」 顔見知りとはいっても一応は客なんだけどな 「お疲れ様。お得意様なんだからもっと喜んで欲しいね」 この短髪の金髪で長身の目付きの悪いアルバイターは同じ学校に通う橘慎一(タチバナシンイチ) 因みに同じクラスだ 「じゃあ、お得意様。俺の分のコーヒーもお買い上げくださいな」 因みにこんな性格だ 「はいはい…。これでめでたく《貸し》が29個だよ」 でもそんな慎一が、僕は嫌いじゃなかった 「30個になったら何かくれよな♪」 こんな性格でも……だ
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