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本棚に追加『おい、叶どうした?』
風紀室から出ていき寮に入ってからも無言でいる叶に、今まで何も言わずについてきた俺はとうとう話し掛けた。
しかしそれでも無言で、ずっと俺に背を向けている。
『まぁ、話したくないなら別にいいけど』
思わずついたため息。それに反応する様に、今まで握られていた叶の手がピクッと動いたかと思えば強く握られる。
「…っ…ら……んだ」
『あ?』
「…~っ!あ、あいつら!黒薔のやつらだったんだ!!」
叶は急にこちらを振り向いたかと思えば次には泣きそうな顔で叫んできた。
しかも俺に「もうダメだぁ~!!」とか言って抱きついてくる。
何なのコイツ。てか黒薔って何だよ。
『言う気があんならちゃんと説明しろ』
なおも抱きついて離さない叶を何とか引き剥がしす。改めて顔を見てみると、叶の顔は涙と鼻水でぐしゃぐしゃだった。
おいちょっと待て。もしかしてコイツの鼻水俺の制服についてたりしないよな?
叶よりも服の心配をしてしまう。
そんな俺を余所に叶は今まで無言だったのが嘘かの様に喋り出す。
「風紀室にいたあの2人、俺のとこと敵対してた族の"黒薔"だったんだ!」
あの2人って多分、東龍院と繰宮のことだよな。
あの2人族だったんか。へぇ~。
…………。
『…はい?』
「だからもうあいつ等に近寄っちゃダメだぞ!」
『いやいや、ちょっと待て。族ってなんだよ。あの2人風紀委員だぞ?しかも内1人は副委員長』
なんで風紀を正すやつが族なんかに入ってんだよ。
「本当なんだって!!俺の目を見てくれよ!嘘ついてるように見えるか!?」
そう言うと叶は掛けていた瓶底眼鏡を外し、顔を近づけてきた。外に晒された叶の綺麗な銀色の瞳に俺の顔が映る。
『って、近い近い!』
気がつくと叶と俺は鼻と鼻がくっついてしまいそうな距離に縮んでいた。しかもまだ叶は距離を詰めてくる。
直ぐ様顔を反らし叶の肩に手を置き離す。
すると叶は口を尖らせ、拗ねてしまった子供の様な顔をする。もうちょっとだったのに、と尖った口でボソボソと呟くのが聞こえた。
何がもうちょっとだったんだ。
『お前ふざけてんだったら俺もう寝るぞ』
話す気が無さそうだし、時計を見てみたら結構時間が経っていたらしく針は夜の11時を回っていた。
何より今日は疲れたし早くベッドに入り寝たい気分だ。

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