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「良かったんじゃない?盗られたのが、お金とか金目の物じゃなくて。手紙とかだったら一年後にまた貰えるでしょ?」
「盗られる事に良いも悪いも無いわよ。どちらかとすれば、悪いわ。……だって、あの手紙、ただの手紙じゃ無いのだから」
ため息を出す母親に困惑した。
だが、一方で今まで語られなかった手紙の内容が気になった。
…あの手紙には一体何が書かれていたのだろう、盗まれる位だから機密事項か、それに準じる物が書かれていたのだろうか。
「なぁ、母ちゃん。あの手紙、外国からだったよな。どういう内容だったか教えてよ」
「それって絶対教えなきゃダメなの?」
「ダメじゃないけど、手紙が盗まれるって事は、その手紙の内容が盗む者にとって金目になる物だって事でしょ?」
「…」
「それだったら、只の専業主婦である母ちゃんが何でそんな手紙を貰っているのか気になるからね」
どや顔の大地は、さながら刑事のようだった。
母親は苦虫を噛んだ顔をしている。
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