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そんな話をしている間に、僕は、彪乃と棚の整理が終わった楓と話ながら、手で紙を千切っていた。
「龍さんはどうやってスカウトする目を養うんですか?」
彪乃は紙を千切りながら、僕に質問してきたので、暫く考えてから……。
『養うというか、本当に見えるんだよ。身に纏うオーラが。ピン!と来るんだよ。』
「ピン!と。確かに龍さんの目に狂いは無いですね。それに不思議と信じたくなるんですよね。だから、待てるんです。」
彪乃の言葉に僕は苦笑して頭を掻く。
『それは、ごめんね?君達には暫く、下手すると数ヶ月は候補生になってもらう。本当にごめん。』
頭を下げる僕に、今まで黙っていた楓が口を開く。
「きっと、貴方だから、皆待てるんだと思う。」
ボソッと言ったが、それがまた説得力があった。
『ありがとう。必ず、立派なアイドルにしてみせるから。』
自信満々に胸を張って答える。
「それは置いといて、彩月さんでしたっけ?とはどうなんですか?」
『ど、どうって!?』
慌てる僕に更に彪乃は、
「しらばっくれないで下さいよ?では、彩月さんとはどのような仲ですか?」
『どのような、って……。僕達は別に…。』
「龍さん、汗びっしょりですよ?」
「不自然です。」
彪乃と楓に言われて余計に慌て切羽詰まる。
『仲も何も無いよ。僕達にそんなことないし、出来ないよ。』
人のいい笑顔を浮かべればこの話題は無かったことにしようとした。
「まあ、解らなくも無いですが、本心くらいは伝えたらどうですか?」
彪乃の言葉に僕は黙りこくる。
『……。そりゃあ好きさ。しかし、だからと言ってそれを押し付けたくないし、年齢差とか色々考えてしまうのは事実さ。さあ、後は掃除機かけて終わりだよ。』
僕はポツリポツリと言い、仕上げに掃除機を彪乃と楓がかけて終わった。
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