大晦日~年越し

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それから暫く歩いていれば、神社の鳥居が見えてきた。 『彩月、着いたよ?』 「……。」 様子がおかしい。 今日の彩月はおかしい。 これはどうしたものか。 モヤモヤした気分のまま、僕は彩月になんて言葉をかけたらいいのか解らなかった。 『まだ時間あるね。どうする?』 「勝手にしろと言っただろ?」 ご機嫌斜めだ。 少し、落ち着こう。 二人きりが嫌なのか、なんなのか、僕には解らなかった。 『うーん。じゃあ、ちょっと話そう。あ、甘酒でも飲もうか。』 寒いのもあり僕は出店の甘酒を2つ買って1つを彩月に渡して隅っこで二人で飲む。 『彩月って甘酒とか飲む?僕、初めてで……。』 「……甘酒は酒じゃないのか?」 『えーと……。』 簡単に説明すると彩月は、 「ややこしい。」 『弱い人は酔うよ?』 「酔うかよ……。」 彩月の顔がほんのり紅い。 まさかと思ったが、それは直ぐに現実となる。 「龍ー。あつーい。」 『さ、彩月?さん?』 彩月はたった一杯で酔ってしまったらしく、手でパタパタと扇いでいる。 「……。うー。」 『あぁ、仕方無いな、こっちおいで。』 手を引いて彩月を少し離れた所に腰かけさせる。 『ちょっと夜風に当たれば大丈夫かな。彩月、気持ち悪くない?』 「大丈夫。」 『気持ち悪くなったら直ぐに言うんだよ?』 「……。龍、おめーは何で……。」 ポロポロと泣き出してしまう彩月にギョッとする。
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