大晦日~年越し

10/11
前へ
/132ページ
次へ
僕は泣き出してしまった彩月を宥める。 『大丈夫?彩月、どうしたの??』 「何で、おめーはそんなに平気なんだよ。いつも、いつも余裕なんが、腹立つ。」 『は、はい?本当にどうしたの?』 わたわたといきなりの事に慌てる。 遠くで除夜の鐘が聞こえる。 「私は、不安なんだよ。確かに、仕事はやりがいはあるし、楽しい。けど、いつもちゃんと出来るかとか、心配なんだよ。全国制覇なんて言って、言われた通りフリーアナウンサーしてるけど、何か色々言われるし。大変なんだよ。」 彩月が今まで溜め込んでいた事を一気にぶちまける。 『彩月……ごめんね。でも、ちゃんと僕に相談して欲しかったな。』 そんな彩月に気が付かなかった僕は、少し落ち込む。 「だって、お前困らせたくなかった。」 涙を押さえて拭き取る彩月。 『何で?僕は君のマネージャーでもあるし、そんなに頼りない、かな?』 僕が発した言葉に彩月は顔を上げて見つめて。 「マネージャー、か。お前は私のなんなんだ。私は……私は……!」 彩月が突然立ち上がり手を振り上げる。 すると、着なれない服と立ち眩みで僕に向かって倒れ込む。 それを抱き留めると二人の距離がかなり近くなる。
/132ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加