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僕は泣き出してしまった彩月を宥める。
『大丈夫?彩月、どうしたの??』
「何で、おめーはそんなに平気なんだよ。いつも、いつも余裕なんが、腹立つ。」
『は、はい?本当にどうしたの?』
わたわたといきなりの事に慌てる。
遠くで除夜の鐘が聞こえる。
「私は、不安なんだよ。確かに、仕事はやりがいはあるし、楽しい。けど、いつもちゃんと出来るかとか、心配なんだよ。全国制覇なんて言って、言われた通りフリーアナウンサーしてるけど、何か色々言われるし。大変なんだよ。」
彩月が今まで溜め込んでいた事を一気にぶちまける。
『彩月……ごめんね。でも、ちゃんと僕に相談して欲しかったな。』
そんな彩月に気が付かなかった僕は、少し落ち込む。
「だって、お前困らせたくなかった。」
涙を押さえて拭き取る彩月。
『何で?僕は君のマネージャーでもあるし、そんなに頼りない、かな?』
僕が発した言葉に彩月は顔を上げて見つめて。
「マネージャー、か。お前は私のなんなんだ。私は……私は……!」
彩月が突然立ち上がり手を振り上げる。
すると、着なれない服と立ち眩みで僕に向かって倒れ込む。
それを抱き留めると二人の距離がかなり近くなる。
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