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無数の建物の廃墟…
ビルやタワーと言った無数の建造物。
そこには生命の輝きは無く、明らかに荒廃した死の匂いしか感じられなかった。
しかし、そんな場所に蠢く影が幾つか見え隠れしていた。
そこにはある種の呼吸があった。
命あるもの呼吸ではなく、機械が吐き出す排気熱。
だが、それは…生命のある軽やかな動きと呼吸音ではない。
重々しく硬い動きと、暴力的な起動音だ―― 。
( 何がチョロイ仕事だよ!? あのハゲオヤジ…… !!)
唯無(ユイナ)は心内で、この仕事を紹介した、AD(アーマードライバーズ)ギルドのマスターに毒づいた。
話が違うとは、まさにこの事だ。
受けた仕事は博物館の最近、遺跡から発掘された文化遺産である金属パーツの警備。
「まあ、警備自体は超強力な警備体制が整っているからね、こそ泥なんて、侵入できないよ。ただ突っ立てるだけの楽な仕事だよ♪ラッキーだね唯無ちゃん♪♪」
そんな流れで請け負った仕事――。
正直、私も少し簡単に考えていた。ただ、そんな美味い話がそうそうあるものだろうか……そんな疑いは僅かなりにもあった。
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