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能はないのに地位だけはある。そんな大人たちが上に立っては落ちてきて、また立てば落ちてくる。
虐げられてきた者たちが反発し、形だけの自由を手に入れ、その中からまた上に立つ者が現れ他のものを虐げる。
そんな人間の社会の常を繰り返し、やっとたどり着いた宇宙進出。そこから20年、黒電話から携帯電話よろしく、あっという間に地球から木星へ。
着いたは良いが、先住民が居たとなればすることは挨拶のみ。何かの手違いか、木星人に「こんにちは」と銃弾をプレゼントし宇宙戦争に発展。
しかしどうやっても科学力では木星に軍配が上がる。圧倒的戦力の前になす術も無く、降伏の道を余儀なくされた地球。
そんな地球史上最大の危機を救ったのはある科学者の研究だった。
ーーー素直に降伏していれば良いものを……。
その科学者は、第二次世界大戦の際、軍で「死なない兵士」を研究していた男の孫だそうで、祖父の研究を引き継ぎ、遺伝子工学を駆使し、「人間兵器」を作り上げたーーー
僕たちは、生後2ヶ月というのに、反木星人教育を叩き込まれている。この、自分たちの生い立ちの説明もその一環である。
僕はこの極右翼の教官の口から出てくる言葉をすべて適当に聞き流し、偶に自らの存在意義について考えたりする。
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