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始まりは地球所属の戦闘機が、木星の居住区に突っ込んできた事件だった。
それによる直接的な被害は皆無に等しかったのだが、その戦闘機の破片、また、地球人の血肉が辺りに飛び散ってしまったのだ。
それが、引き金だった。
原始的な地球人の体内にはこれまた原始的なウィルスが含まれていたらしく、それが事件現場の近隣住民から、居住区全てに広がり、やがて木星の、ほぼ全ての地域に広まった頃には、もう手遅れだった。
我々は、木星に存在する有害なウィルスは全て駆逐し終えていた。
それも、気が遠くなるような昔に。
結果、多数の死者を出しながら、ウィルスは木星を蝕んでいき、それに加え、地球人は人を模した新たな兵器を投入し、こちら側が圧倒的に優位だった戦局は徐々に傾いてきた。
誰もが疲弊を隠しきれない中で、一つの希望が生まれる。
『ウィルス進化論』。
細胞がウィルスによる刺激を受け進化するという木星では廃れた理論だったが、ある新生児の誕生により、その見方は崩れる事となった。
その新生児が為した事……それは、人の身では到達不可能な技、いわゆる、『超能力』というものだった。
しかも、能力が宿ったのはその新生児だけではなく、その後生まれた子供達も、次々と能力を発現していった。
俺も、その一人。
『星の落とし子』と呼ばれる、木星の次世代人類だ。
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