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PM23:47
突然今までうんともすんとも鳴らなかった携帯がなり始めた。
いきなりのコール音に驚きながら寒さで冷えきり震える指で通話ボタンを押す。
冷たい機械を耳元へ持っていき聞こえたのは今一番聞きたかった声。
「キョンくん今どこにいますかっ」
「…………っ…。こ…古泉っ…」
上擦る声と共に今まで固めてきた涙腺が一気に緩む。
「なんで…はやく来ないんだよっ
来いよ古泉……
俺を見捨てんな……っ!!!!」
泣きながら出た本心を言い切るまえに俺を後ろから包む暖かいぬくもり。
……欲しかった。冷えきった身体も心も暖めてくれる。
その慈しむように見つめる瞳が。
優しく包みこむ腕が。
二人を繋げるこの唇が。
「遅くなって申し訳ありません。
涼宮さんから聞いたときは…」
古泉は目を伏せがちに経緯を話す
「ハルヒ?……まさか、お前ハルヒと……」
ハルヒの名前が出た途端に俺の心の黒いモノが動き出そうとする。
だが…─────────
「そんな悲しい顔しないでください。
涼宮さんは僕たちをこうして会わせてくれたのですから。」
そう言って古泉は俺の頬を優しく撫でる。
「キョンくん。
これを受け取ってもらえますか?」
古泉がポケットから取り出したのは金色のリボンが飾られた青い箱。
躊躇いながら受け取り、なかを見るとそこにはシルバーの時計。
「これ…?」
「貴方にどうしてもこれを渡したくて。」
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