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まさか、
これほどとは。
広いにも限度があるだろ。
俺たちの回り方が悪かったのか、何回も同じ場所を往復しては見て回りたかった教室をめざして歩く。
ちゃんと計画して回ればよかったと少し後悔。
それだけならまだしも、灯嘉と様々な場所へと足を進めるたびに、すれ違う奴らからは『可愛いね。』とか『今度、遊びにおいで。』とか声をかけられて、そのひとつひとつに笑顔振りまいて。
灯嘉だけかと思えば、俺にまでありえない言葉が飛んでくる始末。
本当に迷惑極まりない。
それがこの後も続くかと思うとため息が零れた。
視線の先には廊下に差し込む日差しに反射するさらさらの栗色の髪。
眩しくて目を細めていてもわかる優しくて穏やかな表情。
「愁兄。」
俺は灯嘉のことも忘れて走りだした。
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