はじまり

2/19
前へ
/139ページ
次へ
「1年生起立」   一斉にガタガタと音をたてて立ち上がる人たち。 俺、柊 利津(ヒイラギ リツ)もその中の一人。     今日は待ちに待った入学式で、ここは学校内の式典会場。 私立風見高校(男子校)県内でもトップクラスを争う高校の1つ。いずれ有名大学に進学し、『先生』と呼ばれる職業へ就くであろう者たちが通う学校。       そんな学校へと入学が決まって俺の心はずっと浮かれている。 ただ、その心踊らされているのは何も将来お偉いさんになる第一歩を歩み始めたからではなくて、 本当の意味は別にある。   すべては愁兄のため。     すごく長く感じた     この1年     これでまた一緒にいられる。   そのためだけに 俺はここにいるのだから
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2448人が本棚に入れています
本棚に追加