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「んぅ、…はあ、はっ」
塞がれてすぐに唇を割ってやつの熱い舌が入ってきた。舌先で口腔そっと撫でていき、ねっとりと交わっていく。
「ほら、りっちゃんも絡めて」
「…っは、でき…、な」
わずかに唇を離し、やつが低く囁く。
そんなことできる余裕、俺にはないよ。
俺の顎を掴んでいた手は後頭部を押さえ、もう片方は腰に手をまわして引き寄せる。
与えられる初めての感覚に自分の身体が崩れないように、思考が遮断されないように必死にやつの腕を震える手で掴んでいた。
何を思ったのか唇を離し、じっと見つめている。
「…な、な…に?」
腕を掴んでいた俺の手を強引に引っ張り、自分の腰へとまわした。
「だから、なに?」
「俺を求めて、…利津。」
利津
普段呼ばれないやつから言われたからなのか、俺の心は揺さ振られる。
再び口唇が塞がれる。
今度は深く、激しく…
俺の心は揺さ振られたまま、さっき呼ばれた言葉が頭から離れない。
気が付けば受け入れて、自らもその行為に応えていた。
息をさせることも許さないくらいに激しくなっていく。俺は腰にまわした手を強く握り締めていた
「…ッハ、ぅ…はあ」
俺の口腔にあったやつの舌はなくなり、唇もやっと解放される。
乱れた呼吸を必死に整えていると、テラテラと光る濡れた俺の口唇を舐めあげた。
先程の行為とは一変、あいつから優しい笑みが零れる。いつものあいつに戻っているのに俺は内心、ほっとしていた。
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