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「泊まり込み!?」
「そう。」
透き通るような灯嘉の声が教室に響き渡る。
午前中の授業もいつも通り終わり、久々に2人でゆっくりと昼食。最近、忙しかったからな…。
灯嘉もだったらしいけれど、何で忙しいのか聞いてもいつも誤魔化され続けていたり…。
「大丈夫なの?だってあのクズも一緒なんでしょ?」
クズとは誰のこと?
「あ、間違えた。会長さん。」
今、さらっとすごいこと言ったよな。
「あの人いたら利津に何するかわかんないでしょ?それとも、もうされちゃった?」
「さ、されてない!」
必死になって首を左右に振って、笑顔を取り繕って見せるけど、
鋭いよ、灯嘉。
さすがに、早朝に会長さまとキスしてました。なんて言えないよな。
いや、あれは別もの?
「忙しくなるのは来週からでしょ?今週は一緒にお昼食べられる?」
「うん。大丈夫。」
「よかった。」
無邪気で愛らしい笑みを俺に見せてくれる。
灯嘉の可愛さは群を抜いてるから、一緒にいると、どこにいても視線を感じる。
廊下から灯嘉を呼ぶ声がして視線を向けると見たことのない長身の男の人。
先輩かな?
灯嘉が嬉しそうに駆け出して何やら話し込んでたと思ったらすぐに帰ってきた。
「ごめんね」
「よかったのか?さっきの人。」
「うん。最近、仲良くなった先輩なんだよ。」
「部活か何かで?」
灯嘉は部活してなかったよな?じゃあ委員会?
「ううん。…仲良くなったんだよ。」
今の間はなんだったんだろう?
その間に何か言葉が入りそうだったよな。
「…利津はもう少しこのままでいてね。」
疑わしい目で見ていると意地悪そうな顔した灯嘉の顔が近づいて唐突に言った。
このままってどういう意味?
綺麗で細い灯嘉の指が俺の髪を撫でる。まるで、俺の疑問を消し去ってしまうかのように、優しいかった。
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