2448人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんかあったらすぐ俺に言ってこいよ。」
愁兄の暖かい手が俺の顔を包む。さっきのあの表情が嘘のようなやわらかい笑顔
「愁兄、顔近い…。」
吐息がかかるくらいに近づいている愁兄の顔。
これはいろいろと大変なような気がするのは俺だけなのか？
この状況、顔が赤くなってるのが自分でよくわかる。
「なんかって何？俺は、りっちゃんにそんなヒドイ事しないわよ。」
あの馬鹿が愁兄の手を引き剥がすと、俺の肩に腕を回して強引に自分の胸へと引き寄せた。
正直助かったと、あの馬鹿に感謝してる自分がいる。
でも、様子がおかしい。
あの馬鹿が纏う雰囲気が…
いつもはヘラヘラしているあの紫の瞳が今は冷たい。
こんな瞳初めて見た。
「大事にしろよ。」
あの馬鹿の視線などお構いなしにいつも穏やかな笑顔を見せると、自分の席へと戻っていった
「利津、何かあったらすぐにおいで。立木は見境無いからね。」
俺の頭をひと撫ですると京ちゃんも愁兄のもとへ
「りっちゃん、鈍感なのは可愛いけど気付いてあげなきゃダメよ。そうじゃないと、りっちゃんが傷つくことになるから。」
俺が傷つく？
それはどういう意味だ？
それよりもどうして？
最初のコメントを投稿しよう！