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「こんなとこで寝ると風邪ひいちゃうわよ。」
「…わかってる。」
「無理して起きてなくてもいいから、ちゃんとお布団に入りなさい。」
わかってるけど、眠いものは眠い。もう、どこで寝たって同じのような気がしてしまう。
まだ少しだけ残っているココアの入ったコップを俺からそっと奪うと机に置くのが見えた。
自然と重くなっていく目蓋に逆らうことが出来ない。
あっ、
本気で眠い。
頬に暖かいものを感じると同時に、唇に触れる柔らかい感触。
重い瞼を僅かに開けると、ぼやけた視界に写るのはあの馬鹿…。
はっきりとは見えないけど、きれいな顔が揺らいでいるように見えた。
「りっちゃんが…。」
俺が…?
どうしたんだろう?
よく、聞こえない。
重力に逆らえなくなった俺の体を支えてくれる腕に安心して、俺は本格的に眠りに就いた。
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