はじまり

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そのあとすぐに担任が教室に入ってきて今はこの学校の校則やら概要やらの説明をしている。 その前には1人1人自己紹介をしていったけれど。   灯嘉のときは何とも言えないすごさがあった。           灯嘉が教壇に立った途端に、至る所から歓喜の声が聞こえてきて、さらには恍惚のため息まで聞こえた。   本人は知ってか知らずか、極上の笑みを見せると簡単な自己紹介をして自分の席へ戻っていった。       俺は俺で、ありきたりな自己紹介をしてそそくさと戻っただけ。 それを見てた灯嘉が小さく笑みを零していた。 笑うとこなんてあったかはわからないけど。             このあとは各自、自由に学校内を見学するらしい。 わざわざ1年生のために設けられた見学時間。   風見高校の敷地は膨大で場所を把握するのにかなりの苦労をするみたいで、そのために理事長の『慈愛なるお心』でこの見学時間が与えられたらしい。     そんな時間使うならもっと敷地を狭くすればいいのではないかと思ってしまう。       2、3年生はその間それぞれに自由にしてていいらしく、部の勧誘をする先輩や、真面目に勉学に励む先輩、ここぞとばかりに自分の趣味に没頭する先輩。 それぞれ思い思いの時間を過ごすみたいだ。     担任の話が終わったのかクラスの奴らが連れ立って教室をあとにする姿が目立った。   まったく別のことを考えていた俺は、担任の話なんて一切聞いていなかったことに今更ながら気が付いた。
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