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「利津はどこに行きたい?僕は、とりあえず授業で使う教室を一通り見て回りたいなって思うんだけど。」
灯嘉が先程配られた学校の地図と俺を交互に見ながら問い掛ける。
「図書館行きたい。」
掛けられた言葉に何の疑いもなく素直に答えてしまったけれど、そこでふと考える。
「俺、一緒に行こうなんて言った覚えないけど。」
「うん、言ってないよ。」
笑顔で言ったかと思えばみるみる表情は変わり瞳を潤ませはじめた。
「僕は利津と行きたいって思っただけなのに、ダメなんだ。」
これはどういうことだろう。
クラスの奴らは灯嘉を泣かせた俺に殺気の目を向け、灯嘉は灯嘉で今にも涙を零しそう。
本当のこと言っただけなのに。
「ダメじゃないけど、」
「じゃあ一緒に行こう。利津の行きたい図書館は後で行くから。」
完全に灯嘉のペースに巻き込まれてる。
ぐいぐいと俺の腕をひっぱる灯嘉に引きずられるように俺は教室をあとにした。
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