落ちる

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     「急げ急げ」    愛らしい声に、張り付いていた瞼を持ち上げる。    「遅れたら、首を撥ねられる」    撥ねられる? 中世ヨーロッパってカンジ??    まだ夢現を彷徨う意識の端で、そんな風に思った。  !!兎!?!    『二足歩行は人類にのみ、許された云々~』と、宣ったのは誰だっただろうか……    「あぁっ!! 間に合わないっ」    そう叫んで、眼前の穴に消えた兎は完璧な二足歩行。  おまけに金の鎖が鈍く光る、豪奢そうな懐中時計を手に持ち、仕立ての良さそうなジャケットを羽織っていた。    
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