パンドラ【禁后】

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  どう考えても異様としか思えないその光景に恐怖を感じ、ひとまずみんな居間に引っ込みます。 居間からは見えませんが、廊下の方に視線をやるだけでも嫌でした。   「どうする…?廊下通んないと二階行けないぞ」 「あたしやだ。あんなの気持ち悪い」 「オレもなんかやばい気がする」   C君と私とD子の三人はあまりに予想外のものを見てしまい、完全に探索意欲を失っていました。 「あれ見ないように行けばだいじょぶだって。二階で何か出てきたって階段降りてすぐそこが出口だぜ?しかもまだ昼間だぞ?」 AB両人はどうしても二階を見たいらしく、引け腰の私達三人を急かします。 「そんな事言ったって…」 私達が顔を見合わせどうしようかと思った時、はっと気付きました。   「あれ?D子、〇〇ちゃんは?」 「えっ?」   全員気が付きました。 D妹がいないのです。 私達は唯一の出入口であるガラス戸の前にいたので、外に出たという事はありえません。 広めといえど居間と台所は一目で見渡せます。 その場にいるはずのD妹がいないのです。  
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