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バケモノが子どもを見つけたのは、暗い路地の奥だった。
小さくなる子どもを、二人の男が囲んでいた。
バケモノが、沸いた怒りに任せて攻撃をしようとした時、子どもが走ってバケモノの元に来た。
「あ、お連れの方?」
男の一人が言い、子どもの手足に付いていた鎖を持っていた。
「このっ……バカ! んなでけえ街なんて迷うに決まってるだろ!」
子どもに怒鳴ると、ビクッと肩を震わせた。いや、違う。驚かせたいわけじゃない。
「こんなでっかい街なら、手でも繋いでない限り別れちゃうよ。俺だってよくアクと別れて怒られてるから」
男はケラケラと笑い、もう一人の男に頭を叩かれていた。
「奴隷の少年かと思って錠を外したが、大丈夫だったか?」
子どもの手足の鎖が消えていたが、その細い手には赤黒い痣が残っていた。
「いや、大丈夫だ」
怯えた子どもの頭を乱暴に撫で、二人に軽く頭を下げた。
「ごめん、お兄さん。ちょっと質問なんだけど」
ヘラヘラと笑う男に声をかけられ、バケモノは顔を上げた。
「魔物の力の影響を受けなくなるような方法、ないかな?」
一瞬、攻撃対象としてそれを捉えようかとも思ったが、
「あ、勘違いしないでね。お兄さんが魔物でも言ったりしないから! ほら、俺は情報が欲しいだけ……てっ!」
「それだけ騒げば逆に怪しいものよ。沈黙は金となる。お前は少々金の作り方から教えてやろうか」
「ごっ、ごめんなさい! だからその鎖で叩くのはやめて! 痛い痛い!」
戦う意欲どころか、バケモノに意識さえ向けていないようだった。バケモノは力が抜け、子どもが笑っているので攻撃はやめた。
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