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不審に思いながら、村の中へ歩を進める。
「それで、どこへ行きたいんだ?」
バケモノが問うと、子どもは道の先を指さした。
子どもに従い、まるで死んだような村を歩く。家々に人の気配はするが、何に怯えたのか外に出ることはない。
「ここか」
子どもが立ち止まった家の前に立ち、バケモノは軽く扉を叩いた。
返事もなかったので、バケモノは勝手に扉を開ける。鍵がかけてある様子もなく、バケモノも人の気配を感じなかった。
「……何用だ」
嗄れた細い声が響き、バケモノは少なからず驚いた。
大きな部屋がひとつだけある小屋の奥、暗がりに若い男が座っていた。
「いや、えっと……」
「この村には何もない。奴隷にするにも、呪いが酷すぎて売り物にもならないだろう」
呪い?とバケモノはおうむ返しに返事をする。小屋の中へ入り、勝手に男の前に座る。
男は、まだ産まれて20年も経っていないような若者だった。
だが、肌は汚れ、汚ならしい格好の中で、目だけがギラギラと輝いていた。
「ああ、呪いだ。ここは、8年前に呪われたのだ」
男は、枯れ木のような手を強く握った。反射的に、バケモノは子どもの手を握りしめた。
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