歪曲~帝と義春~

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 見えてきた。  義春の隙が……。  でも、確実な決定打を叩き込むにはまだ小さな隙。  小さな隙を大きくするには、この状況で義春に大きな動きをしてもらうしかない。  でも、このままチマチマした喧嘩をしていると、確実にどちらもチマチマした攻撃を繰り返すことになる。  だったら。  俺から仕掛けるしかないんじゃないか?  やることは義春のフェイントと同じだ。  わかりやすい、下手なフェイントでも、今はお互いに疲れがヤバいから、美味しそうな、上手いフェイントに見えて、ひっかかるだろう。  やるっきゃない。  失敗したら終わり。  その言葉が俺を程よく緊張させる。
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