序曲

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 夏の終わり頃、一通の手紙が届けられた。  俺の住むボロアパートのポストに似合わない綺麗な白い手紙。  俺に手紙を届けるような知り合いはいないはずなのに。  そんなことを考えながら開封する。  その手紙にはこう書かれていた。 拝啓、井崎楓様 急な手紙を送り申し訳ありません。 楓様は来年より高校生になりますね。 そこで、国立○○学校に入学してみませんか? 入学などに掛かる費用など全てこちら側が負担します。 勿論試験、面接はありません。 この手紙をもって日本学校に来てもらうだけで構いません。 場所は東京都○○市○○町○○○○です。 それと入学を拒否する場合、あなたは……わかりますよね。 自分の胸に問いただしてみて下さい。 お前はなにをしたのか? 追伸 日本学校にくればあなたの会いたい者に会えますよ。 「ハッ」  思わず微笑する。  宛先不明……んなこと書かなくても俺は解っている。  こんな急展開、予想しなかった。       殺してやるよ
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