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たったそれだけなのに、俺は恋に落ちた。
男が男を好きになる…なんて、最初は抵抗があったけれど。
それから俺と古泉は、たまに話す、いわば友人のような関係になって。
ハルヒが作ったヘンテコな部活でも一緒だし、休み時間も一緒…
毎日が、夢のようだった。
…だったのにある日。
『キョン君は、好きな人がいますか?』
オセロの最中に、そんなことを訊いてきた。
『…は?』
『好きな人ですよ。恋愛の話で』
いや、言われなくても何となくわかるが…
『…なんでいきなり…』
『なんとなく…と言っておきましょうか』
『…お前は?』
震えないように努力して、押しだした声でそう質問を返すと、
『いますよ。とても大好きな人が』
さらなるその返答は、槍のように鋭く長く俺の胸を貫いた。
古泉の顔が、すごく幸せそうだったのも、ひとつの原因かもしれない。
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