なぜに登山

7/10
前へ
/10ページ
次へ
今は高1だけど、いまだにトラウマはぬぐえない。 ぬぐえてないから、反抗している。 でもちょっと後悔してきた。 だってめんどくさいんだもん。 しまったな。しかし、帰ったら負けなような気がする。だから、今更引き返せるか。 そうはいったものの、このまま登っても意味がないのではないか。いや、登ること自体に意味がある。そう考えなきゃ、やってられるか。 もう登りだして30分はたつ。なのに、いまだに景色は変わらない。 オレ、運動とか得意なほうじゃないから、もう疲れた。 今更だけど意味ねぇんじゃね。 と、ほぼあきらめかけで登っていると、上の方から光が差し込んできた。 その光に向かって最後の体力を振り絞って走った。 そこは広場のように広く平らで、草もさほど茂ってなかった。 その真ん中には、小さなライトアップされたクリスマスツリーがあり、その横に一人の男がいた。 不思議な光景に身動きができなかった。 いや、ただ小さいけどそれでもこの暗闇の中、眩しい光を放つクリスマスツリーにみとれていたのかもしれない。 上手く言葉にできないけど、その光でクリスマスの本質を知れたような気がした。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加