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男がオレの存在に気付き近寄ってきた。
「君もクリスマスが好きなんだね」
はい? オレはクリスマス大嫌いなんだけど。いい大人が何いってんだよ。
「アンタは、なんでこんなところにいるんだよ」
クリスマスツリーの方を向き、
「クリスマスが好きだからさ」
と、笑顔でこっちに向き直った。
「違う、なんでこんなところにいるんだよ。クリスマス好きなんだろ。だったら家でケーキ食ったり、好きな人と過ごしたりしてろよ。なんでここにいるんだよ。頭おかしんじゃねーの?」
「じゃあ、君も頭がおかしいってことでいいのかな?」
なんでずっとニコニコしてるんだよ。気持ちわりぃ。
「いや、オレはクリスマスなんて嫌いだし。嫌いだから、あえてクリスマスっぽくない山登りをしてんだよ。アンタに比べりゃ正当な理由だと思うよ」
顔色一つ変えず話を続けてくる。ただ、クリスマスが本当に好きなんだな、このおっさん。
「そうなんだ。ボクはクリスマス好き過ぎてクリスマスを過ごすのに当たり前なことはもう飽きたんだよ。だから、あえて山登りを選んだ。そして、てきとうなところにツリーを置いて一夜を過ごそうと思っていたんだ。どうだい、ワクワクしないか?」
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