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しねぇよ。なんだ、ただの変人か。
「でも、なんでかしらねーけど、あのツリーはいいな」
しゃべりながらクリスマスツリーに近づいていく。
何故だろう、これを見てるとクリスマスが嫌いじゃなくなっていく。
男もオレと一緒の足取りでツリーに寄ってきた。
「だろ? ボクの一番のお気に入りでね。シンプルだけど、光はしっかり放つ。木と光がマッチしたって感じだね」
いや、違う。そういう個体そのもののことを褒めたんじゃない。
「オレ、クリスマスはサンタさんからのプレゼントだけだと思ってた。だから、要求していたものと違っただけでクリスマスが嫌いになっちまった。でも、このツリーを見てるとそんなこと馬鹿馬鹿しく思えてきた」
そうだ。子どもの頃だったからただ自分の利益のことしか考えず、クリスマスを楽しんでいたんだ。そんなのクリスマスが好き、なんてもんじゃない。ただ、自分の好きなものが好きなだけじゃねぇか。
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