第2記「偉人の企み」

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辺りは異様な空気だった、静かな廊下に足音が聞こえる、「来られましたよ、覚悟はよろしいですか?」何の覚悟だと言う前に、襖が開く方が早かった、重臣達の緊張が一層高まった感じがした、「ごきげんよう、調子はいかがかしら?」「あっ、兄上!」現われたのは叔母と妹だった、「叔母上……寿代?」寿繁は唖然としていた、叔母は解るが、まさか妹まで奥方にしていたとは……、「寿繁、この度は災難だったわね。」「兄上かわいそー。」「ええ、まあ……。」「まったく、あの人ったら何を考えてるんだろうね。」寿繁は重臣達を横目で見た、なんだかだんだん、顔色が悪くなっている気がする、「大体あの人はね……。」それから叔母はずっと愚痴を言っていた、成る程、重臣達が恐れていたのはこれだったのか……叔母の愚痴がやっと終わり、池藤に聞いてみた、「あれは一体何なんだ?」「あれは一年間に一度奥方様の愚痴を聞く日なんですよ、奥方様にはお世話になっておりますので、聞かぬ訳にはいかないのです。」納得した寿繁は改めて重臣達の苦労をねぎらった、しかし叔母は最後、叔父を褒めていた、そうゆう意味でも叔父は魅力があったのではないかと思えた。
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