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「仕方ないんだよ……。私は今、ロイの婚約者候補だから……」
「そうだよな……」
切なそうな二人の表情。
なんだ、そういう事。
私はわざとらしく咳ばらいをした。
「んんっ!!よし!!リズ、ちょっと来て!!」
「え?」
目を丸くするリズの手を引いて私はリズを花畑から連れ出した。
「どうしたの?いきなり……」
「リズ、とりあえず部屋に戻ってて」
「え?」
「いいから、お願い」
頭を下げるとリズが少し不思議そうな顔をしながらも承諾してくれた。
リズがお城に戻るのを確認してから、私はもう一度花畑に戻る。
面食らうクリスの隣に、私は座った。
「お嬢様達の猛攻撃が和らぐの待ってたら、もう夜になっちゃった」
「………」
「星、綺麗だよ?」
「………」
「下向いてるなんて、もったいないじゃん」
そう言うとクリスが顔をあげて私を見た。
「用件は?」
「クリスとリズは不器用だね」
「え?」
「あんたは素直じゃないなって話」
私はクリスにニコッと笑いかけた。
目を見開くクリス。
私はクリスから星に目を移して続けた。
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