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「同じ歳の男の子は確かにカッコつけたがるけど、あんたみたいな不器用な人初めて」
「は?」
「リズに言えば良かったじゃん。『ロイ王子とデートなんかすんなよ』って」
そう言うとクリスが咳込んだ。
胸を叩きながら私を見るクリス。
真っ赤になって口を開いた。
「何言って……!!」
「バレバレなんですけど。あんな顔、好きだって言ってるようなもんだよ」
「バレバレ……」
「好きなら好きって言えば?」
私の言葉にクリスの顔が暗くなる。
そしてゆっくりとした口調で話し出した。
「無理なんだよ……」
「は?」
「絶対に無理なんだ……」
俯くクリス。
絶対に無理?
どうして……。
クリスを見ると、クリスが握りしめていた紙を広げた。
「これ」
「え?」
「リズが昔、俺にくれた手紙」
「手紙?」
「俺、リズに似合う男になれるように頑張ってて、頑張って背伸びしてたんだ。そんな俺に気付いたリズが、『無理しなくていいよ』って言って渡してくれた。
そんな些細な事がすっげー嬉しくて、それからずっと持ってるんだ。
キモイよな。絶対報われないって分かってるのに……」
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