159人が本棚に入れています
本棚に追加
/162ページ
泣きそうなクリス。
私は唇を噛んだ。
どうして……。
どうして、この人は言葉を飲み込むの?
どうして、普通の人と同じ事をこんなに否定するの?
わからない。
私には
わからない
私はクリスの顔を真剣な顔で見た。
「絶対なんて、あるわけない」
「え?」
「恋に絶対なんて、あるわけない」
「お前……」
「絶対があるなら、私だって絶対いい恋してたはず。だけど私、今までいい恋なんてしてきた事ないよ?」
「お前と俺とは違うだろ」
「違わない!!」
驚いた顔で私を見るクリス。
私は悔しくなってクリスに詰め寄った。
「違わないよ!!住む世界が違っていても、恋をしてしまう事に関しては、お金持ちであろうと、一般庶民であろうと関係ないよ!!
好きになっちゃうのは仕方ない事なんだよ!!」
クリスが俯く。
私はクリスの顔を両手で掴んで上げさせた。
「顔上げろ!!目をそむけんな!!あんた男でしょ!?
好きなら好きって、ちゃんと言いなよ!!兄貴の婚約者候補だからって何!?まだ候補じゃん!!
それなのにいつまでもウジウジして……
そんなの、クリスの気持ちが可哀相だよ!!」
.
最初のコメントを投稿しよう!