Battle 2

17/19
159人が本棚に入れています
本棚に追加
/162ページ
目から自然と涙が出た。 人前で泣いたのは、いつぶりだろう。 こんなにも優しい言葉を聞いたのは、いつぶりだろう……。 良かった。 リズを好きでいて。 良かった。 良かった。 「…かった……」 「え?」 「良かった……。兄様の婚約者候補に、お前が居てくれて……」 バカにしないで話を聞いてくれた。 ありがとう。 本当にありがとう。 俺の言葉に目を見開く桜。 それからゆっくり笑ったんだ。 桜と別れた俺は自分の部屋に戻ろうと城に戻った。 すると、ばったり兄様と廊下で出くわした。 「兄様……」 「クリス。こんなくだらないものに巻き込んでごめんな」 兄様が頭を下げる。 そういえば、アイツも『こんなくだらない勝負』って言ってたっけ? 俺はクスッと笑った。 「クリス?」 「同じ」 「え?」 「兄様と桜」 「彼女と会っていたのか?」 「うん。さっきまで」 兄様が俯く。 ああ、そっか。 俺、今までこんな顔してたんだな。 桜が言うとおり、バレバレだ。 .
/162ページ

最初のコメントを投稿しよう!