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「大丈夫だよ、兄様。俺、桜の事好きだけど、そういうのんじゃないから」
「え?」
「そうだな……。親戚にあんな奴が居てもいいかな」
ニコッと笑って歩き出す。
なんか、スッキリした。
もう、兄様を見ても暗くならない。
頭に、リズが手紙をくれたあの日が浮かんだ。
『無理して、背伸びしなくてもいいよ。クリスはクリスなんだから』
リズの言葉でも救われたけど、そのあとの兄様と楽しそうに話してたリズを見て、やっぱり俺は水の底に逆戻りした。
敵わない。
兄様には勝てない。
優しくて、俺とは真逆の兄様にコンプレックスを抱いていた。
頑張って自分の気持ちに蓋をしようとしてた時に、桜が来た。
『あんたの気持ち、無駄になんかしないんだから!!』
なんで俺の事に必死になってんだよ。
自分はこんな勝負受けたくないくせに。
俺はクスッと笑って部屋に入った。
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