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‐桜side‐
あれから一週間。
今日はクリスが勝者を決める日。
皆がクリスの言葉に耳を澄ました。
クリスは私と目が合うとクスッと笑った。
あの笑顔は、一体……。
不思議に思っているとクリスが口を開いた。
「今回、俺はこんな勝負に自分が巻き込まれた事を物凄く恨んだ。
だけど、巻き込まれて良かったって思えた出来事があったんだ」
そう言って私に笑いかけるクリス。
「桜」
「え?」
「今回の勝者はお前だよ」
「私!?」
慌てる私を見てクリスがクスクスと笑う。
私はクリスを戸惑いながら見た。
「桜、ありがとう」
「え?」
「ありがとう」
今まで見たことがないクリスの笑顔。
私の顔も自然と笑顔になった。
クリスにピースをすると、「バーカ」と笑顔で言われた。
あんな約束しちゃったんだ。
私もちゃんとしないとね。
その決意を胸に、私とクリスは笑い合っていた。
こうして終わった一回戦。
王子の弟を味方につけて
さてさて、私の明日はどっちだ?
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