第1章

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(けっこう長い付き合いだけど、今だにこいつの考えてることがわからん) 会話が続かないまま歩いているとドンッと何かがぶつかってきた。 「おっと」 ぶつかってきたのは少年。単に驚いただけのトールだったが、ロキの反応は違った。即座に少年を追いかけ始めた。 「おい、ロキ」 「スリだ」 話し掛けた瞬間に答えるロキはトールが今まで見たことがないほど怒っていた。直情的なトールと違い普段あまり感情を見せないロキの姿にトールは驚きを隠せない。 大通りを疾走する少年と大の大人二人。大人二人の方に分がありそうに見えるがこの少年、速い。それに加えて、小柄な体躯を生かし人の波をすり抜ける。 「待ちやがれクソガキ!!」 「う、うわあぁ」 (あいつ……こんなキャラだったか?) 必死で少年を追う彼の姿にトールのなかでクールなロキ像がガラガラと壊れていく。
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