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ここ、交易都市ウェルノはミッドガルドでも有数の大都市である。交易都市というだけあり、街には特に大通りには店、商人、買い物客と、物と人で溢れかえっている。
そんな熱気やら活気やらなんやらで非常に賑々しい大通りをロキとトールは宿に向かって歩いていた。ちなみにロキという男、ウェルノに来るといつも同じ宿屋に部屋を取る。理由は他の宿を探すのが面倒臭いからだそうだ。
「虹の街<ビフレスト>か~。俺も行ってみてぇなあ。キレイなとこなんだろ?」
「ん?」
「いや、お前行ってきたんだろビフレスト」
「ああ」
両手を頭の上で組んでロキを羨ましがるトールに、ロキは少し考えるそぶりを見せた。
「景色はあまり見ていないからわからん」
「はあ?!」
とトールは道のど真ん中で大声を上げた。
「いや、お前ビフレストって言ったら虹の名所だろうがっ。ビフレストに行って景色見てないって、おま、何しに行ってたんだよ!」
「……いろいろと」
「はあ~」
と肩を落とすトール。ロキの口調からこれ以上聞いても無駄なのを悟ったためだ。
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