第一章

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お次は服の方だが、髪の真逆なのだ。 つまり、黒を下地に白の水玉模様が柄となすワンピースだ。 ちなみにノースリーブ。 しかし、この時期にその服装は寒くないのかなどという疑問は湧かない。 字面じゃあイメージが難しいだろうけど、目の当たりにしている僕からすれば気の味も色も悪くて、疑問はすぐに消失する。 ではそろそろ奇妙の描写をするか。 描写っていうか、解説か。 まず、今は夜だ。 太陽の職務は地球の反対側へと遂行されている時間で、空は青くも赤くもなく、宇宙となっている。 それなのに急に現れた白黒女は、こんにちはなどと明らかに時違いな挨拶。 そして、続けて発せられた妙な台詞を僕は思い返す。 おゆがみさん……何だ? お湯神さんか? 「あ、いえいえ。そうじゃなくて、ゆがみ(歪み)って方です。ひずみ(歪み)、いびつ(歪)、歪曲の“わい”、不正を一つにした漢字です」 なるほど。お歪みさん、ね。それで、何で僕がお歪みさんなんだ? 「あはは。自覚ないんですか~。やっぱり歪んでますねぇ」 間延びした感じに僕を貶めてきた。 しかし、無自覚に歪んでいると言われても、中途半端にしか困惑せず、その困惑はすぐに取り合わない方が吉というものに変換される。  
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