#01 セイギノミカタ、囚われる。

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「どこなんだろ……、ここ…………」 患者服を着た少年は誰とでもなく、一人ごちた。 年は十代の中頃か、後半ほど。よくいえば無造作ヘアー、悪くいえば寝癖のついた髪は彼の鰻重を覆い隠している。 細い体躯に、人目を引く精悍な顔立ちだが、その雰囲気は年不相応で余りに幼く、あどけない。 壁に手を付きながら、引きずるように歩く。 「バンチョーも、あー君も、どこ行っちゃったんだろう……」 不安からか、思考せずとも視線が足元へ向いてしまう。 周りに、自分を知る者も、自分が知る者も、誰一人いない。 否、一人ではない、独りなのだ。 なんとなくそんな事が分かって、悲しくなった。
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