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《影喰い》は頭をなでてもらうのが好きだった。
「わふ」
アカネはいつも楽しそうに撫でてくれた。
そんな時だった。
突如としてミークがアカネに襲いかかったのだ!
仲間ではなかったのか、と思うより先に体が動く。
「ガルル!!ガウ!」
ミークの体、真赤な細菌塊に噛みつき、そして侵されて知る。
コレはアカネを食らうためずっと隙を狙っていたのだと。
「ガゥゥ!!」
うぞうぞと蠢くミークに包まれて影喰いはやがて崩れる。
その瞬間だ。
崩れた体から真黒な影が湧き上がり、そしてすぐさま一回り小柄な影が形作られた。
「にゃお」
それは一声鳴くと、まるで冗談の様にぺちりとミークを叩きつぶした。
「にゃぁぁ」
無事だったのかとアカネが伸ばした手は、カゲネコの体をスルリと抜け宙をかいた。
影の体だけになってしまった結果だ。
もう撫でてもらう事も出来ない……
「にぁぁ…」
触れる事が出来なくても守れたならいい。
ただそばに居られたらいい。
「ずっと一緒にいようね」
会話は出来なくても思いは通じた。
「なぁぅ♪」
カゲネコは、精いっぱいの甘えた声を返した。
-この世は魔界-
常闇の中に影が伸びる……
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