第4話

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個展4日目、案の定Aはやってきた。 しかも朝一番で。 『お父ちゃんの絵見に来た。』 『Aお前美術部だろ?』 『ギョッ😱なんでわかるの?』 『ある程度描けるようになるとな、一目見ただけで描いてる人間かどうか見分けがつくんだ。』 『え?なんで?』 『絵描きの特権だ。』 『ゴメンお父ちゃん私はただの趣味だから。』 『もうお父ちゃんなんて呼ばなくていいんだよ。お前の目の前に居るのはただの田舎のおじさん。』 『でも、Kお兄ちゃんが中学1年の時に、お父ちゃんがKお兄ちゃんにくれた手紙…お兄ちゃんすごく喜んでたよ。』 『アハハ、そりゃお父ちゃんはカナタのお母さんだからだ。Kが赤ちゃんのころ、Uが外で働いてた。お父ちゃんはおばちゃんと協力してKをずっと子育てしてきたからね。俺はKのことを忘れた日なんて無いよ。』 『Wお姉ちゃんとデキてたってホント?』 『ただの噂だよ。』 『お父ちゃん、お父ちゃんしか居ないの…私の本当のお父さんが誰なのか…心当たりのある人を知ってるのはお父ちゃんしか居ないの…』 『そりゃ無理だ。お父ちゃんにだって。恵が独身の頃は、たつや、了、しんじ、etc心当たりがあるが、新婚時代の恵の相手は誰が誰やら』 『お父ちゃんそんなんでよく、お母ちゃんと結婚したね…』 『ん?言ったろ?Kができたからだ。』 『お父ちゃんの『愛する人へ』って1000万するってホント?』 『ベートーベン曰わく、ハートは金にしてはならん。』 『お父ちゃん…愛する人へ売ってお母ちゃんの手術代にしたらこんなことにはならなかったのに。』 『無理無理。今じゃあの絵にはなんらの値段も無い。』 『しかもダメ男で?働かないし?絵も描かない。家事もしない。』 『あれはもう、あの時はもう、Uとの恋は捨てたからさ。今でも夢に見るよ…。恵が何の言葉もなしに他の男のところへ出かける夢をね。』 『お父ちゃん離婚してから寂しく無かったの?悔しく無かったの?なんで?』
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