プロローグ

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ーー深夜、日付が変わるまで約2、3分。 満月の光が降り注ぐとあるビルの屋上にその人物はいた。 ビルの縁に仰向けに寝転がるその人物が何をしようとしているのか。答えは前にある物が語っている。 即ちーー銃。状況等から見ても用途は狙撃である事は用意に推測出来る。その目標が『人間』であることも。 このように、銃等『物』からこの状況を見た人物が居れば慌てて逃げ出すだろう。 だが、銃を持つ『人物』から見た場合、呆気にとられるかもしれないし、お節介な人間であれば家に帰るよう半ば呆れた口調で諭すかもしれない。 ( ^ω^) ーー何せ、狙撃銃に取り付けられたスコープを覗いているのは、どこからどうみても十代後半から二十代の間、最も輝く時期にいる『女性』であるからだ。 丸っこい印象を受ける彼女は、何が楽しいのか笑みを浮かべている。その顔はどこか人を惹きつけるような輝きを放っているが、彼女の前にある銃がそれを許さず、かくして奇妙な空間を作り上げていた。
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