プロローグ

3/5
前へ
/29ページ
次へ
( ^ω^)「ーーお、それにしてもブーンは狙撃なんてガラじゃないんだけどナーwww」 不意に彼女は声を出す。誰に聞かせる訳でもない独り言は不平を漏らしている。 ( ^ω^)「そもそも陽動ならブーンが直接殴り込んだ方が……あ、それだと皆殺しになっちゃうおwwwうはwwwテラチートwwwww」 場所と服装が違えば学校帰りにショッピングでも楽しんでいそうな年相応の笑顔を浮かべ、しかし出てくる言葉は噂話などとは程遠い『殺し』という単語。 ( ^ω^)「大体あれ何なのwww時代錯誤過ぎワロタwwwww」 言葉の節々に笑いを含まれているのは、『あれ』が笑いのツボにはまったからか、はたまた癖なのか。 彼女を見る分には後者のようだが、彼女が覗いている先を見れば前者も否定しきれない。 スコープの先にあるのはとある敷地を囲む塀が唯一切れている門、その前にいる1人の男性。 髪は金髪、見たところ地毛らしい。顔立ちは整っており、美形と言って差し支えない。また衣服は動きやすさを追求した、彼女が着ている服と同じような用途、即ち戦いを行うのに最適な服装である。 彼の後ろにある敷地内の建物は現在襲撃をかけられかねない状況にあり、門は襲撃に備えてある程度人が集まっているーースコープを覗く彼女はそう思っていたが、実際は男性が1人立つだけである。 だが、彼女が笑っているのはそこではない。 ( ^ω^)「にwほwんwとwうwww今時日本刀ですかwwwアイアムジャパニーズサムラーイwwwww」 門前に立つ彼が腰に携えているのは紛れもなく日本刀である。今の御時世、白兵戦に用いられる武器と言えば銃器であるし、別に接近戦を行うならサバイバルナイフ等で良い。 にもかかわらず彼は日本刀を提げ、どころか銃器の類を1つとして所持していないのだ。勿論、先程顔立ちを観察出来た事から分かるように、防弾ヘルメットを被っている事もない。 これでは絵にはなっても銃で狙われれば打つ術がない。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

79人が本棚に入れています
本棚に追加