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深い深い一面緑という言葉がこれほど似合う森はこれから生涯見ることはないだろう。
それほどこの森はどこまでもつづいているのだ。
富士山の樹海の何倍もの広さがあるんではないかとも思う。
樹自体も一つ一つが密集して、葉によって日の光もほとんどが遮られ昼なのに暗く視界の悪さと不気味さがこれでもかというほどでている。
そして今俺は森の中を全力で走っている。
俺はただ平凡に生きてきた。
そう人より運動神経が良いくらいで。
小さい頃の記憶がないなんて関係なく毎日を楽しく生きてきたんだ。
なのに、それなのに………。
これは不幸過ぎるだろうがあぁぁぁぁ!!
「はぁ、はぁ……」
「グギャアアアア!」
「くっ来るなっての」
そして俺は叫ぶ。
この理不尽さと自分の不幸を呪うかのように。
「なぜだ、なぜなんだぁぁぁぁ!!」
くそっなんでこんなことに。
俺がこんな不幸なことになるにはほんの数日前に遡ることになる。
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