はじめまして

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自転車を半ば投げ出すような形で玄関に起き 私は部屋へと逃げ帰った。 「はーっはーっ」 所々身体が痛い。 「夢……?」 先ほど自らに起きたことを受け入れられない。 崖から落ちたが幽霊に助けられたなんて 夢に違いない。 そう思いたかった。 「そ、そうだよねっ。 きっと悪い夢……」 「違うよ?」 「ひぃっ!!」 私の顔の横から 扉をすりぬけた顔が語りかけた。 「いきなり逃げないで欲しいなぁ。 傷つくじゃないか」 幽霊はぶすくれて言う。 「ご、ごめんなさい」 現実味が無さ過ぎて謝ってしまう。 「あ、いーよ。慣れてるし。 とりあえずドアあけてくれる? すり抜けるの意外と疲れるんだよね」 幽霊に促されるまま私はドアを開けた。 「はじめまして」 おどけた口調で幽霊が語り出す。 「私の名前は"はやざき"」 膝の痛みをまだ感じるあたり 夢では無いようだ。 「さて、誰を殺していい?」
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