Scene.1

2/9
前へ
/96ページ
次へ
バサッ。 足元に本が落ちて俺は目を覚ました。 やべ……寝てた。 本を拾って周りを見回すと、ドアの脇に居る同じ制服を着た男女が俺を見てクスクスと笑っている。 …良かった。まだ駅に着いてない。 寝てたのは、ほんの少しみたいだ。 相変わらず2人は笑っていたけど、俺は気にかけずに本に目を落とした。 少年と父親と犬の話。 読者を泣かせる魂胆が最初から窺えて、内容が頭に入ってこない。 明日までに感想文を書かないといけないのに、まだ半分も読んでいなかった。
/96ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加