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「なにが後悔する、だ。後悔するのはおまえだろう」
「いかれたねーちゃんだな」
「身の程知らずはそちらだろ」
「やっちまおうぜ!」
その声を合図に、ホームレスたちはにやつきながら女へと近寄った……つもりだった。
しかし。
「ぐあっ」
「いてっ」
ホームレスたちはそれぞれ、お互いに距離があったはずだった。
他の人間から一定の距離を保ちながら女に近寄っていたはずなのに、気がついたらホームレス同士がぶつかっていた。
あちこちで悲鳴が上がっている。
「さあ、はやく来なさい」
女は笑みを浮かべ、ホームレスたちを見ている。
「本気でかかってきなさいってわたくしは言いました。ほら、本気できなさい」
女の言葉に、ホームレスたちは気色ばむ。
「だあああ!」
血の気の多い若いホームレスが怒号を上げ、女に殴りかかる。
女の目の前まで迫り、あと少しでぶつかるというところで……衆人環視の中、突然、ホームレスが消えた。
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